エンジンのオーバーホール

プロローグ
 5月のある日の事だった。私はレオーネ号で,4名乗車で群馬県内の某 ○名山
(マンガで有名な)を2速7千回転キープでのぼりきるという暴挙(怪挙ともい
う)をしでかしたのであった。太田に帰る途中から,アクセルを戻すとシャラシ
ャラと音が出始めた。誰に聞いても「こりゃあ イッちゃってるよ,メタルが。」
という絶望的な答えしか返ってこない。しばらくは恐る恐る乗っていたがもう我
慢できない。何時止まってもおかしくない状況に耐え切れず,その年の夏のボー
ナス全額を投げうって,遂にオーバーホールを敢行したのでした。

 オーバーホールのメニューとしては,ごく標準的に,とりあえずピストンと
リング,メタル(クランクシャフトのベアリング),パッキン一式を注文して,
エンジンを開けてみました。

 結果,当初疑われていたメタルは,殆ど無傷でした。...???
あの異音は何だったんだろう。とにかく,再組み立てのメニューを考えました。
    
       今回やったこと。

@ ピストンは標準サイズを使用する。メタルも標準サイズとする。

A ピストン,ピストンピン,コンロッドで重量合わせ(バランス取り)を行な
 う。
B フライホイールの軽量加工。
C シリンダーヘッドは面修正のみで,面研は行なわない。(理由は後ほど詳細
 に説明します。)
D ポートとバルブ当り面修正。
E クランクシャフト,フライホイールの回転バランスは,...今回はとりま
 せんでした。(予算の都合で...)

  フライホイールとシリンダーヘッドは修理屋から更に専門の加工業者に送ら
 れ,その間に腰下を組んでもらいました。全部バラした時点で色々自分のエン
 ジンを観察して分かった事, 10万km走ったエンジンにしては,ピストン,
 クランクとも綺麗でした。ただ,このツインキャブエンジンは,2個のキャブ
 レター各々が左右のシリンダー各々を独立して受け持っており,私のエンジン
 は各々のキャブレターの同調が取れておらず,右の燃焼室内は真っ白,左の燃
 焼室内は真っ黒の焼け方でした。また,このキャブレターは,その真中にエア
 クリーナー取付けネジがある為,通常のバキュウムゲージがセットできず,同
 調を取るのが難しい(スバルのディーラーでも調整できる人はもういない)と
 の事でした。...どうやって調整するんだろう。
  また,ピストン,ピストンピン,コンロッドで重量合わせを頼んだのですが
 コンロッド4本各々,また新品ピストン4個各々の重量の誤差がかなり少なく
 殆ど削らずに各々の重量の誤差を±0.1g以下にすることができました。RX
 のエンジンは特に精度の良い部品を集めて組まれていたのかもしれませんね。
  凡そ1ヶ月かかって私のレオーネ号のエンジンは復活しました。エンジンを
 再び載せて,エキマニ(触媒まで1体式)を着けようとした時,あの異音の
 謎が解けました。エキマニを逆さにすると,中から触媒の割れた破片がパラ
 パラと落ちてきました。恐らく古くなって劣化した触媒が7千回転キープの
 排圧に耐え切れずに割れて音を出していたのでしょう。この時使用していた
 エキマニは,前のが割れてきた為,交換した中古品でした。仕方がないので
 以前使っていた,割れたエキマニ(これは触媒は無事)の遮熱板をはずして
 割れた所を溶接してもらい,再び取付けました。慣らしを500kmほど行
 なったあと,マイクロロンを注入しました。O.H.後の感想としては,バラン
 ス取りを行なったせいか,回転フィーリングが以前よりカチッとした気持
 良いものになりました。フライホイールを削ったことによる低速トルクの痩
 せ等は感じられません。

  取り外したピストンの写真です。

 

 (今回作業実施;ターゲット;太田市) 

 エピローグ;AB−5 RX のエンジンについての考察

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 おまけ;   落ちてきた触媒破片

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