続 RX エンジンについての考察

  今回 2機目のエンジンを探す過程において判ったこと、 EA81型エンジン
には3種類(ターボを含めると4種類)のチューニングが存在する。スタンダー
ドは、セダン、ワゴン、スウィングバックに搭載された、100ps/5600rpm、
15.0kg−m/3600rpmのものであり、もうひとつは、RX専用の110ps/
6000rpm、15.0kg−m/4000rpm、4ナンバーエステートバン専用の
95ps/5200rpm、15.0kg−m/3200rpm、ちなみにターボは120ps
/5200rpm、19.0kg−m/2400rpmとなる。エステートバン用が最も
低回転型である。(ターボもわりと低回転型であるが。)今回、エンジンを譲っ
て頂いた方に見せて頂いた資料によると、RXのエンジンはシリンダーヘッド
まで完全に専用設計であるということ。具体的には、セダン用の標準エン
ジンと比べて吸気と排気のバルブの位置が丁度逆になる。
ということは、
バルブ、ロッカーアームを押しているカム山の配置も逆になる。故に、RX用
のカムシャフトをセダン用のエンジンに付けることは不可能である。また、プ
ッシュロッドはセダン、RX、バン用でそれぞれ違う。これが意味することは、
即ちカムのリフト量も恐らく3者で全く別であろうことである。つまりカムシャ
フトも夫々専用ということである。私は当初、セダン用のエンジンでも入手し
て、ヘッドを面研してRXのカムを入れてやろうと考えていた。しかしその方法
ではRXのエンジンは造れないのである。ヘッドまで別物、つまりこのRX用エ
ンジンは、例えばいすゞのエンジンで言えばG161Z型のブロックをベースに
、DOHCヘッドを載せたG161WE型、トヨタで言えばT型OHVエンジンをベ
ースにDOHCヘッドを載せた2T−G型を開発するのと同じ位開発の工数
(というか手間)が掛かったと思われる。では何故DOHCではないのか?
恐らくDOHC化するとヘッドが大きくなって、(水平対向の場合左右に張り出
すので)レオーネのエンジンルームに収まりきらなかったのか、1本で済む
カムシャフトが4本に増えてしまう重量増加を嫌ったのか、それとも開発者
のポリシーなのか、(53年排ガス規制をツインキャブレターでクリアしてしま
う程ですから)先人の苦労が偲ばれるところである。

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