エピローグ レオーネを降りて 前編
一番書きたくなかった事だが、いつまでも放置しておくわけにもいかないので。
前回HPを更新した2010年頃までは何の不安もなくレオーネ2台に乗っていた。しかし、伏線となる事件がいくつか起きてくる。
AB5についてでは、この年の夏、初代レオーネ1400RX(の残骸?)を見に静岡までAB5でドライブした時の
事だ。 帰路、東名の守山PAに入る時、シフトレバーとリンケージを繋いでいるボルトが脱落、JAFのお世話
になったのだが、その時JAFの隊員から、
「何かのイベントの帰りですか? 最近旧車のイベント多いですね。」
などと言われてしまった。
なるほど、今やレオーネはイベント向け旧車なのか? 普通に通勤や買い物から実家への帰省など
何にでも使っていたのだが。シフトレバーを直した後、フロントデフの辺りが異音を伴いガクガクとぶれるようになってきた。
フロントデフが寿命だと言う。
幸い、予備のミッション、フロントデフAssyがあったので載せ換えたのだが、今度は3速に入れた時
シフトレバーがはじかれるようになった。
困った。もう予備の部品は無い。この頃と時を同じくして、レオーネフロントガラス事件が起きる。
静岡で同じAB5のRXに乗られていた方が、飛び石でガラスを割ってしまい、... の一件だ。
いろいろ探し回ったのだが、AB型レオーネのフロントガラスはもうどこからも部品が出ない事が判明した。
飛び石一発で車に乗れなくなるのだ。今どきレオーネに乗っている人は、普段の生活用には別の最近の車に乗り、レオーネはイベントなどの
趣味の車として割り切って乗っているのだ。レオーネだけで生活しているのは日本中探しても、もう自分が
最後の一人なのか。...
AA5についてでは、同じくこの年の夏に、四国の実家まで帰省した際、その帰りにエアコンのコンプレッサーが
逝ってしまったのだ。 電装屋に訊いてみると、修理できなくはない。但し修理代は15万だ、そうだ。
古いコンプレッサーを直し、動作確認するのに、その電装屋が持っている、一本ン万円の高価なR12ガスを
使うのだそうだ。 AAレオーネ用の中古のコンプレッサーでもあれば、いつもお世話になっている修理屋で
まだ少しは安く直せるのだが、その部品も無い。15万か。 これも困った。
AA5レオーネは完全に足として使い倒していた。荷物も積めるし運転も楽だ。 でも15万掛けるなら、
他の足グルマが買えてしまう。 AA5はもう車検も近いし、迷い所だ。 また、このAA5はターボ車だ。
初期のインジェクションモデル、コンピュータ関連のセンサー等、部品が欠品してきている。
これもプラスチックのセンサー部品が古くなってパキッと折れたら、それで乗れなくなるのだ。ちょうどその時、ヤフオクに安いGF8インプレッサが出ていた。トータルコスト的に見て、AA5レオーネを
15万で直して、その後車検を通すのと、そのインプレッサを買って車検を通すのでは金額的には
同じくらいだ。 部品の心配は、インプレッサならまだ全然大丈夫。 そんなわけでAA5を手放して
インプレッサを買う事にした。STI{ではない、ただのWRX ’98年式 5MT 250ps、リヤデフにシュアトラックLSDを備える
なかなかの優れモノだ。 宮城の方からはるばるやって来た。
実用性の良いハッチバック、5速マニュアルミッションで燃費も良い。レギュラーガソリンで
高速では13km/Lも走った。街乗りでも8km/L以上。何の不満も無く半年間乗った。インプレッサは、C型までの前期型と、D型以降の後期型ではボディ剛性が全然違う。
欧州の側面衝突安全基準対応で、サイドシル、センターピラーがかなり強化されているのだ。
これはボディ剛性の面から見れば、ロールバー等でボディ補強するのと同等以上の効果が
あるのだ。昔、C型インプレッサのRA_STI VerUに一年ほど乗っていた事があるが、それと
比べてもこのE型インプレッサはハッチバックにも関わらずボディ剛性はガッチリしていた。
インプレッサの良さを再認識させられた。半年乗って、インプレッサを充分理解できたところで、さらに上、自分が思い描いていた、
“インプレッサに乗るならコレ!”と言える物に乗り換える事にした。 それが今乗っている
インプレッサだ。GC8の黄色いクーペ。この黄色は若い頃の自分が量産立ち上げに携わり
大変苦労した思い出の色なのだ。だからネットで全国から探して、ボッタクリ中古車屋から
高いのを承知で買った。それはまた後で述べる。
AB5に話は戻る。
前述のように部品供給の不安が現実となり AB5RXを維持する事が困難になってきた。
思えばずっと普段の足に使ってきた。会社でも有名な車だったし、どんな悪天候にも
負けない、いい車だった。 就職の内定を貰った大学生の頃に当時8年落ちの中古で
買い、それから19年も維持してきたのだ。 もう自分の人生そのものだった。
でも、どんな物にも終わりがある。 そろそろ潮時だろう。このHPで有名になった車だ。ヤフオクに出したら散々な目にあった。
アクセス件数は千件を突破、ウォッチリストも百件を突破、それでいて初値1万円に
設定したのに入札は一件も無し、その代わりメール等で裏取引の申し出が5件。
有名な方の名前を出して、部品取りでもらってやるよ、みたいな横柄な態度の方も。
一万円の価値しかないから一万円で出した訳では全然ない。これが中古車屋なら
70万円コースだぞ。なんともムシのイイ奴ばかりで本当に嫌になった。
しかし、ヤフオクの出品を見て驚いた仙台のT氏から申し出があり、氏の所有するSVXと
交換することになった。 仙台のT氏は、かつてこのRX用にスペアのエンジン、ミッション、
デフを譲って下さった恩人なのだ。T氏の申し出であれば私には断る権利も理由も何も無い。こうして、私が19年愛したAB5RXはT氏の手下のI氏の許へ。
入れ替わりにSVXが宮城から我が家にやって来た。それが2011年1月の事だった。フルノーマルの ヴァージョンE。
そしてあの、忘れもしない3月11日がやってきたのだった。
仙台のT氏も、郡山のI氏も、体は無事だったのだが、とてもクルマどころではなく、...
後編に続く